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@半径とことこ60分

人間の認知範囲なんてそんなもんさと、鳥が囀った

菅野完著『日本会議の研究』 2016年、「生長の家」原理主義者たちは綿に水が染み入るようにやってくる

安倍政権に象徴される日本の右傾化への危機感かと思いますが、このところ「日本会議」に関する本が続けざまに発刊されているようです。

そのうちの2冊を読んでみましたが、「日本会議の研究」はかなりの力作で、著者自身によりますとかなり過去の資料を読み込んで書かれたようで、日本会議の実相に迫っている印象です。

 

日本会議の研究 (扶桑社新書)

日本会議の研究 (扶桑社新書)

 

 

ただ、この本には、日本会議から出版社の扶桑社あてに、事実無根であるとして、発売停止を求める文書が送付されたそうです。著者のツイートにキャプチャがありました。

 

 

日本会議の抗議文も、痛いところを突かれた人間の書くような文章でいただけませんが、この菅野完という方も「死ねよ低能」とか、どうなんでしょうね?

著書の内容を疑われますよ。

 

 

日本会議とは何か? 

で、「日本会議」がどういう団体かといいますと、実態のはっきりしない国民運動を装った保守系団体の緩やかな連合体のようなイメージで、神社本庁、国柱会、霊友会、佛所護念会教団、念法眞教、崇教真光など(「日本会議の研究」より)の宗教団体がたくさん所属しています。

政治家では、「日本会議国会議員懇談会」というものがあり、安倍晋三、麻生太郎を始めとして、第三次安倍内閣20名のうち12名が所属(しんぶん赤旗)、8月3日の改造でさらに増えているようです。

この数字を確認しようとググってみますと、主要新聞のソースが全くないことに気づきます。日本会議のことを主要新聞が報じないということがよく言われていますが、その通りのようで、現在の日本は1930年くらいの段階にあるということでしょう。満州事変が1931年です。

日本会議の特徴は、本体としては何をやっているのかよく分からない団体ですが、別働部隊がたくさんあるということです。

各宗教団体は集会などの動員力の源ですし、憲法改正については、「美しい日本の憲法をつくる国民の会(憲法改正を実現する1000万人ネットワーク)」(櫻井よしこさんの露出が激しいやつ)が前面で活動していますし、「新憲法研究会」や「『二十一世紀の日本と憲法』有識者懇談会」もそうだと著者は言います。

「憲法おしゃべりカフェ」といういかにも怪しい勉強会(らしい)をやっている「日本女性の会」もそうでしょうし、過去に成功した運動でもいろいろな団体があったようです。

その成功事例の典型が、「歴史教科書採択運動」と「男女共同参画バッシング」であり、その手法は、各地の地方自治体に請願や陳情を行い、地方議員に圧力をかけて議会で採択させるというものです。

日本会議は、現在、この手法で憲法改正運動に総力を上げているらしく、「憲法改正の早期実現を求める地方議会決議」を地方議会で採択させようと活発な運動を繰り広げています。

すでに25府県議会、36市区町村議会が採択しているとのことです。(日本会議の研究より)

 

日本会議の源流 

この本によれば、日本会議の源流は「生長の家学生運動」にあるということです。ただ、「生長の家」は、

谷口雅春が1930年に創設した強烈な反共意識にもとづく右派的な教義を説く宗教団体であった。しかし、現在の「生長の家」は「エコロジー左翼」とでも言うべき路線を採用しており、日本会議とは基本的には一切の人的交流はない。

ということで、結論から言いますと、現在、日本会議を中心的に担っているメンバーは、1960年代なかば、全共闘運動が全国に広がった頃に反左翼として活動した民族派の「生長の家学生運動」のメンバーたちが、教団の路線変更により主流から外れ、「生長の家」原理主義ともいえる思想で結びついていると、この著者は書いています。

具体的に言いますと、唯一(正確ではない)左翼学生に勝利した長崎大学の学生協議会の会長だった

  • 椛島雄三(かばしまゆうぞう)
    / 現日本会議事務総長/日本青年協議会・日本協議会会長

そして、「生長の家」の組織候補で、元号法制定運動の団体「日本を守る会」の中心メンバーであり、後に「参院の法王」と呼ばれた

  • 村上正邦
    /日本会議は、「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」が合併して設立

この二人が手を結び、わずか2年で元号法の制定を勝ち取ったということです。ただ、現在村上氏は引退しているようで、日本会議としての実質的な活動はないようです。

 

「安倍政権の生みの親」と言われる

  • 伊藤哲夫/日本政策研究センター代表
    /「生長の家」青年会の元中央教育宣伝部長(1976年頃)

は、1983年に教団が路線変更した際、脱退して日本政策研究センターを設立(1984年)したのではないかと著者は言います。

 

安保法制審議の際に、菅官房長官が「集団的自衛権を合憲とする憲法学者もたくさんいる」と言ったうちの一人

  • 百地章/日本大学教授・憲法学者
    /「生長の家」の学生団体「全日本学生文化会議」大会実行委員長(1969)/「憲法おしゃべりカフェ」の発案者?

 

「親学」の提唱者として名高い

  • 高橋史朗/明星大学教授
    /生長の家学生会全国総連合委員長(1976年当時、土橋姓)/日本会議の推進母体「日本青年協議会」の幹部

現在、安倍首相の内閣総理大臣補佐官を務める

  • 衛藤晟一/参議院議員・内閣総理大臣補佐官
    /日本青年協議会副代表/九州学協執行部副委員長

 

生長の家原理主義

1983年の教団の路線変更により、旧来からの信者たちによる創始者谷口雅春へ回帰する集団が生まれたようです。

「生長の家」創始者・谷口雅春先生を学ぶ会

この集団を、この本の著者は「生長の家原理主義」と名づけているのですが、機関誌として、『谷口雅春先生を学ぶ』を発行しており、発行人は、

  • 中島省治/日本教文社元社長

そして、編集人として、百地章の名前があります。

 

ちょっと面倒になってきました(笑)ので、結論です。

「日本会議」の推進団体は「日本青年協議会」であり、その「日本青年協議会」は、「生長の家学生運動」から生まれた団体あり、「生長の家」原理主義者たちと強いつながりがある、ということになります。

また、安倍政権は「日本会議」の影響を強くうけており、改憲の主張内容も「日本政策研究センター」のものと酷似しているらしい(まだ未チェック)です。

以上の関係を図式化したものを引用しておきます。

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稲田朋美は「生長の家」原理主義者なんだ!?

下の動画の28分30秒からです。


ダイジェスト 第6回東京靖国一日見真会

 

黒幕は安東巖?

最後の章は、上に上げた面々を束ねるカリスマ的な誰かがいるという、ややサスペンスドラマっぽいつくりで「安東巖」という人物を探り当てるのですが、これはどうなんでしょう?

多分これはないでしょう。

さほど強固な団体にはみえません。だからこそ怖いというべきなのです。日本にヒトラーは生まれないと思います。誰もそうだとは気づかないうちに、何とはなしに、自覚なく、「ああ、やってしまった」というのが「日本」という国だと思います。

 

まとめ

もともとこの本は、扶桑社のWebメディア「ハーバー・ビジネス・オンライン」で連載されていたものを書籍化したものですので、ややあおり気味のところがありますが、それでもこれだけたくさんの資料を読みあさり、「日本会議」を可視化させたのはすごい功績だと思います。

著者自身が「むすびにかえて」で言っているように、

事実を積み重ねていけば、自ずと、日本会議の小ささ・弱さが目につくようになった。

(略)

しかし、その規模と影響力を維持してきた人々の長年の熱意は、特筆に値するだろう。

(略)

彼らこそ、市民運動の王道を歩んできた人々だ。(略)彼らが奉じる改憲プランは、(略)本音には「明治憲法復元」を隠した、古色蒼然たるものだ。しかし、彼らの手法は間違いなく、民主的だ。

私には、日本の現状は、民主主義にしっぺ返しを食らわされているように見える。

ということです。

 

同感です。

未だ、太平洋戦争の総括もできず、アメリカの属国のまま自立もできず、自分たちは被害者だとエクスキューズしてきた71年の帰結ということでしょう。

 

なんとかしようぜ!

 

日本会議の正体 (平凡社新書)

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日本会議とは何か: 「憲法改正」に突き進むカルト集団 (合同ブックレット)

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